病気について

2011-02-28 17:46:00

加齢黄斑変性症

加齢黄斑変性とはどんな病気? その診断は?

黄斑変性症は、加齢により網膜の中心にある黄斑が痛んで(変性して)しまう病気で、加齢黄斑変性とも呼ばれます。

文字を読んだりする時など、物の形をしっかり判別するのは黄斑の役目です。ですから黄斑が痛んでしまった場合には、碁盤の目のようなもの(図a)を見ると自覚症状がわかりやすいのですが、中心が暗く見えたり(図b.中心暗点)、歪んで見えたりします(図b.歪視)。


加齢黄斑変性には、2つのタイプがあります。黄斑は正常では暗い色調をしていますが(図c)、その暗い色素が枯れてしまう萎縮型と、余分に生えた悪い血管(新生血管)から出血をおこす滲出型(図d)があります。

萎縮型は何年もかけてゆっくりとやんわりと進行しますが、滲出型は数週、数か月の間に急激に悪化して実用的な視力を失うことがあります。

ですから、同じく黄斑変性症と言われても、萎縮型と滲出型では大きく異なりますので、問題となる滲出型の場合でも、治療に反応して新生血管の勢い(病気の活動性)を抑えられることがあります。

生活上の注意

また、加齢黄斑変性が片方の目に起こった場合、もう片方の目にも起こることがあります。それでは、予防のためにはどんなことをしたら良いのでしょう?

現在わかってきたことは、喫煙は絶対いけないこと、高脂肪食や肥満、高血圧マイナスの要因ビタミンや魚の摂取プラスの要因であることです。

欧米型の食生活がいけないのは、この病気が欧米の失明原因の第1位であることからもうなずけます。日本では第4位ですが、車社会に伴う運動不足や欧米型の食生活のためか患者さんは増加しています。ですから禁煙や日本型の食生活など生活習慣の改善をお勧めします。


基本!早期発見、早期治療が

ゆがんで見えるようになったり、中心が暗い感じがしたら、まずは専門医の検査を受けましょう。

滲出型の場合は治療法が最近になって進歩していますので、専門施設で、タイミングを逸することなく早期発見・早期治療することが基本です。

 

 

2011-02-06 12:17:00

糖尿病網膜症

概要

2007年の厚生労働省による調査によれば、糖尿病が強く疑われる人は890万人、糖尿病の可能性を否定できない予備軍の人は1320万人いると言われ、日本人の40歳以上の3人に1人が糖尿病の可能性があるということになっています。

糖尿病ではいろいろな合併症が生じますが、眼の合併症の代表的なものに糖尿病網膜症があります。網膜症の頻度は約40%とされ、現在も我が国における中途失明原因の第二位です。


網膜とは、わたしたちの眼の奥にある部分で、カメラのフィルムに相当するところです。わたしたちがものを見るために、とても大切な役割を果たしています。網膜には細かい血管が全体に張りめぐらされていますが、糖尿病によって血糖値の高い状態が続くと血管に多くの負担がかかり、血液の流れが悪くなってきます。

細かい血管が密集している網膜は、高血糖の影響を非常に受けやすいのです。その変化は網膜の機能を徐々に損ない,最終的には著しい視力低下、そして時には失明につながります。糖尿病網膜症を知ること、それが糖尿病網膜症から目を守ることの第一歩です。

治療

糖尿病網膜症の治療は、その病期によって異なります。眼科的な治療としては、網膜光凝固術(レーザー光凝固)、硝子体手術があります。

1.    血糖コントロール:一般的に、単純網膜症の段階では血糖コントロールを良好に保っていくことで,眼底所見が自然に軽快することが知られています。血糖コントロールが安定していることは、網膜症の進行を予防することにもつながりますので、大変重要です。

2.    網膜光凝固術(レーザー光凝固術):虚血に陥った網膜から新生血管が生じることを防ぐために、レーザー光凝固術を行います。

新生血管とは,血液の流れが悪くなったり止まってしまったりした時に、それを補うために急いで作られる新しい血管です。糖尿病網膜症によって失明に至る場合は,この新生血管が大きく関わっています。


新生血管は血液の流れの悪い部分、すなわち虚血網膜が存在するために生じるわけですから,虚血網膜をレーザーで処置することによって新生血管をつくる反応を抑えることができます。

よってレーザー光凝固術は網膜に虚血のある段階,増殖前網膜症と増殖網膜症がその対象です。外来通院で、3-4回に分けておこなうことが一般的です。一回の治療は、約15分程度となります。

目薬の麻酔でおこない、まぶしい感じはしますが、ひどい痛みはありません。レーザー治療は、早期であれば80パーセント有効で、時期が遅くなると有効率が 5060パーセントに低下します。この治療は視力がよくなるわけではありませんが、網膜症の進行を予防するために大変有効です。

3.    硝子体手術:レーザー光凝固術で抑えきれなかった増殖網膜症に対しては、硝子体手術と呼ばれる手術療法をおこないます。

前述の硝子体出血や網膜剥離を生じた増殖網膜症がその対象となり、硝子体内の出血を取り除いたり、出血の原因となる新生血管を処置したり、剥がれた網膜を元にもどすことなどが、手術の目的となります。

この手術はむずかしく、視力や視野などの現状維持がその目標となります。約2週間程度の入院が必要で、手術は局所麻酔で行うことが一般的です。

  

アドバイス

 良好な血糖コントロールを保つこと,そして眼科で眼底検査を定期的に受けて少 しでも早い段階で網膜虚血を発見すること、がとても大切です。自覚症状がない時、その時期こそが糖尿病網膜症による視力低下を防ぐ時期なのです。


 

2011-02-03 10:21:00

アレルギー性結膜炎

概要

アレルギーとは、外から入ってくる異物に対して、体が過剰に反応することで起こります。結膜は直接空気と接していますので、様々な異物が飛び込んできます。

眼のアレルギーを起こす原因物質としては、ハウスダスト、花粉などが代表的です。ハウスダストの中にもいろいろなものがあり、ほこりの中に混じって生きているダニ、ダニの死骸(しがい)や糞(ふん)、ヒトや動物のフケや毛、カビなども含まれます。これらが無数のほこりとなって空中に舞い上がり、結膜に付着すると結膜炎を引き起こします。

アレルギー性結膜炎の分類

1.    花粉症 (右上図参照)

花粉が原因で生じるアレルギーです。花粉症を起こす植物としては、春先に多いスギ、秋に多いブタクサなどが有名ですが、花粉そのものが毒性を持っている わけではありません。

花粉が体に入ってくると、「好酸球」という細胞が過剰に反応して、「ヒスタミン」などの化学伝達物質をたくさん作ってしまうことが花粉アレルギーの原因です。症状は眼のかゆみ・充血・異物感・目やになどです。

2.    ハウスダストによるアレルギー性結膜炎(通年性アレルギー性結膜炎)

ハウスダストによる結膜炎も、原因や症状は花粉症と同様です。(異物が花粉ではなく、ハウスダストであるという違いだけです。)しかし、ハウスダストは花粉と異なり、常に身の回りにあるので、一年を通して症状が慢性的にみられるのが特徴です。

3.春季カタル

春季カタルはアレルギー性結膜炎の慢性重症型です。10歳くらいまでの男児に多く見られます。ハウスダストが原因となっていることが多いとされています。目のかゆみが非常に強いうえ、黒目(角膜)の表面に多くの小さな傷ができるために異物感が強く、光をまぶしく感じます。
 
炎症が強いときは、角膜に白い混濁ができることがあります。ひどくなると、混濁部分で上  皮が剥がれ落ちて「角膜潰瘍」という状態になることもあります。


従来は、
10歳を過ぎると症状は軽くなり、自然治癒することが多かったのですが、アトピー   性皮膚炎を合併することが多くなった最近では、20歳代でも強い症状がみられる人がいます。


4.巨大乳頭結膜炎

巨大乳頭結膜炎とは、上まぶたの裏に、大きなボツボツとした結膜乳頭による隆起が多数発生し、炎症を起こしている状態です。

コンタクトレンズについたタンパク汚れの変性物に対するアレルギー反応が原因で、汚れたコンタクトレンズで発生します。異物感、くもり、目やになどが出るほか、重症になるとコンタクトレンズが上方にずれやすくなります。

 

症状

アレルギー性結膜炎の症状は、まず目やまぶたがかゆくなります。目をこすったり、かいたりしていると次第に痛みが加わり、目がゴロゴロした感じになります。

そしてそのまま放っておくと結膜が充血して、まぶたが赤く腫れてきます。さらに症状が悪化すると、角膜周囲が充血して、結膜にゼリー状の目やにが出てきます。

このような症状になる前に対処することが悪化させないために重要です。まず、目にかゆみがでてきた段階ですぐに眼科医を訪れてください。

アレルギー性結膜炎の予防方法

花粉症の場合は、症状の出現しやすい季節にできるだけ花粉と接しないように工夫することが重要です。ゴーグル型の眼鏡や花粉防止用のマスクの着用が効果的です。

洗眼を頻回に行うことは目を傷つけてしまうこともあるため、あまりすすめられません。ハウスダストの場合は、部屋の清潔を心掛けたり、寝具を干したりするのも効果的です。

 

 

2011-02-01 13:55:00

コンタクトレンズと角膜潰瘍(かくまくかいよう)

角膜潰瘍は、

角膜(黒目)の表面の皮がめくれ(角膜びらん)、角膜実質がむき出しになるだけでなく、角膜実質が傷んでいる状態です。

原因は感染、免疫反応、外傷や薬品などがある他、コンタクトレンズを、指定の時間以上に長期装着したり、正しい装着指導もないままの使用等が挙げられます。

 

角膜の病気としてはかなり重症で、すぐに治療をしなければなりません。病気が進行すると、たとえ治癒しても瘢痕(はんこん)ができて視力が出ないだけでなく、最悪の場合、角膜に穴が開いて眼球の中身が外に出てしまったり、逆に細菌などが眼球の中に入って失明してしまいます。


 

個人個人の眼に合ったコンタクトレンズを提案される事無く、通販、量販店で購入して最悪の状態(角膜潰瘍等の眼疾患)で当院へ来院される患者さまが増えています。 視力が0.02まで落ち、重篤な状態の方もいらっしゃいます。

 

 
コンタクトレンズは必ず眼科専門医師の診察のもと、正しい装着、適切なレンズを装着し、定期的な検診を受けることをお勧めいたします。

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